第120回 日商簿記1級 商業簿記・会計学
以前、第120回日商簿記2級と3級について、講評を述べましたので、今日は1級の商業簿記と会計学について、簡単に講評を述べたいと思います。
まずは商業簿記から述べます。
与えられた資料はそれほど多くないですが、よく考えないとできない箇所もしくは知らないと解けない箇所があり、難しく感じた方もいたのではないでしょうか。
ただ、簡単に解ける箇所もあり、そういったところでしっかり得点を積み重ねることができるかどうかポイントだったと思います。
まず社債ですが、旧会計基準と問題文にあり戸惑った方もいたかもしれませんが、結局B/Sには、正しく処理された結果が記載されますので、いつもどおり解けば難なくできたかと思います。
次に商品売買ですが、ここは手許商品と委託品の数量、単価(原価・売価・指値)をボックスを書いて、先入先出法で1つ1つ確認すれば、思ったよりも難しくなかったと思います。最終的に手許商品と委託品が何個残ったかを把握できれば、商品、積送品、積送品売上、棚卸減耗費、商品評価損は金額を埋めることができました。ただ、委託品からも商品評価損が生じる点に気付くかどうかは、問題文の【解答上の注意】の1に「当社は単一商品を取り扱い」とあるところをしっかり頭に入っていればできたはずです。
次に備品、建物ですが、減価償却の箇所で定額法なのに償却率と書いていたため、あれっと思った方もいたかもしれません。これは、1を耐用年数で割ったものが償却率になります。そうすると建物の耐用年数は40年、備品が5年となります。ここは知っていれば難なく解けますが、初めて知ったという方には難しかったかもしれません。
また、有価証券の箇所で、修正受渡基準が出題されました。ここも知らないと解けない箇所であり、ここまで対策を講じていなかったという受験者も数多くいたかもしれません。ここはできなくても仕方ありませんが、有価証券は簡単に金額を埋めることができます(投資有価証券とその他有価証券差額金はできなくても仕方ありません)。
その他の箇所では、売掛金の金額を求めることができなかったという受験者もいたかもしれません。売掛金の金額を求めるためには、まず前T/Bの27,250千円がどのような過程でその金額になったかを考えることが大切です。問題文をしっかり読み、当期中に売掛金をいくら回収しているか求めれば、期末残高19,950千円を求めることができます(未通知の500千円がありますので、最終的に19,450千円になります)。
ここは、問題文に会計係が間違えた処理をしていたという箇所を読んで、「会計係、間違えるなよぉー」などと思ってはダメです。そこには問題を解く上で重要なヒントが隠されているということですので、出題者が何をさせたいために、こんなことを問題文に入れているのだろうと考えながら解いてください。そうすれば必ずできるはずです。
全体的に見て、有価証券の修正受渡基準と減価償却の定額法の償却率の2箇所は知らないと厳しいですが、それ以外は既存の知識で十分解ける箇所ですので、できなかった方は、今一度基礎・基本をしっかり見直してください。
なお、商業簿記の問題を解くときに、必ず気をつけることは前T/Bの数字の意味をしっかり考えることです。これを考えるクセをつけることが安定的に得点を重ねる1歩になることだと思います。また、解答用紙には最終的な結果の数字が記載されることも頭に入れながら解くと、スピードアップも図ることができるでしょう。
次に会計学ですが、第2問で事業分離が出題されました。ここは株式交換が出題されるのではないかと思った方もいたのではないでしょうか(僕自身も企業結合で出題されるなら合併、株式交換かなと思っていましたが。予想をはずして、すいません)。
ですが、今回出題された事業分離は、難易度的にはテキストレベルでした。この出題をみると、今後、日商簿記1級を学習するに当たり、ヤマを張ることなく、幅広く網羅しなさいという出題者の意図を感じさせる問題でした。
第3問は株主資本等変動計算書でした。期中取引はテキストレベルのものばかりでしたので、ここはある程度学習していれば満点を狙えた箇所だったと思います。
今回の試験はとても難しいというよりも、知らないと解けない箇所が多々あり、そういった意味で難しく感じた方もいたかもしれません。しかし、知識上の基礎・基本の習得、または解く上での基本的な取り組み方、考え方を抑えておけば、それほど難しくない問題だったと思います。
それでは、今回、受検された方は、もう一度今回の問題を解いてみてください。
| 固定リンク


コメント